金融庁が公表した「資産形成報告書」に書かれた内容が多くの物議をかもし出しています。
・公的年金の水準が今後調整されていく見込み
・企業の退職給付額も最近は減少傾向
・長寿化に伴って1,300万円~2,000万円ほど老後は資金が不足する
今までのように60歳までは企業で働いて、その後は退職金と年金で悠々自適な生活を・・なんてことはいつの間にか夢物語に。
またいつの間にか国として、定年自体が65歳というのが当たり前の認識になっていることにも違和感を覚えます。
自助努力という言葉に関しても同様です。
そしてこの中でも一番自分が気になっていること。それはやっぱり「いったい年金はいくらもらえるんだろう」ということ。
今後徐々に支給年齢は引き下げられ、受給額も下がるのでしょうがまず第一に現時点の年金支給(国民年金+厚生年金)がどの程度なのかを知っておきたい。
ということでこの記事では
・現時点での国民年金(老齢基礎年金)の受給額の目安
・現時点での厚生年金(老齢厚生年金)の受給目安
についてを調べてみました。
国民年金の受給額は加入月数に比例
まずは国民年金の受給額の目安について。
国民年金(老齢基礎年金)の支給額は年金の加入期間によって決まります。
20歳から60歳になるまでの40年間(480ヶ月)国民年金を満額(480ヶ月)納付をした場合の支給額は年間で780,100円です。(2019年4月時点)
支給額は加入期間に比例して増加します。
ざっくり考えるのなら1ヶ月の納付(17,000円)で65歳からもらえる金額が年間1,625円増えるということです。
ただしこの支給額は毎年の賃金や物価などにより見直しが図られることに注意してください。
また年金の支給は10年の納付がないと認められません。
未納期間がある場合の計算方法と国民年金の平均
保険料を納付した期間が40年に満たない場合は、自分が国民年金を納付した月数を把握できれば支給金額が分かります。
例えば年金の未納月数が25か月(2年1ヶ月)ある場合は455ヶ月納付したということになるので
・780,100(満額支給)×455(納付月数)/480(満額月数)
という式で計算ができ、年間739,470円の支給となります。(※ただし免除が認められた月がある場合は未納月の一部を納付とみなすことができる)
また厚生年金(老齢厚生年金)に加入している方は自動的に国民年金も納付をしているので問題ありません。
ちなみに国民年金の受給者の平均年金月額は月額55,615円(年額667,380円)。
逆算するとだいだい国民の平均納付月数は410ヶ月ほど(70ヶ月ほどの未納)ということになります。
厚生年金の受給額の目安
国民年金の受給額の目安が分かったので厚生年金の受給額の目安を確認してみます。
厚生年金保険は少しややこしいのですが
・報酬比例年金額
・経過的加算
・加給年金額
この3つを合わせた金額がもらえます。
1つずつ整理をします。
報酬比例年金額は年収と加入期間に応じてもらうことができる厚生年金の主な部分です。
以上の計算式によって求めます。
計算には生年月日に応じた率が使われますが、60歳以下の人は5.481/1000を使えばOKです。
例えば今31歳の自分で平均標準報酬額を400,000円、被保険者期間月数を330ヶ月とするならば(50歳で仕事を辞めると仮定)
・400,000(平均標準報酬額)×5.481/1000×330(被保険者期間)
という計算になり年間で723,492円もらえることになります。国民年金と足すと年間で145~150万円ほどです。
また報酬比例年金がの計算には
・平成15年3月までの計算は賞与を含めない平均給与「平均標準報酬月額」が使われ、
・平成15年(2003年)4月以降は賞与まで含めた「平均標準報酬額」が計算に使われます。
経過的加算とは60歳以降に厚生年金に加入をしている場合、60歳を超えた部分の加入分が受給額として加算されるものです。
以上の計算式によって求めます。
生年月日に応じた率は、60歳以下の人は1.000を使えばOKです。
被保険者期間の月数とは60歳を超えて働いた月数のことです。
つまり60歳を超えて働く場合は1ヶ月働く期間が長くなるほどに1,626円の年金受給額(年額)のUPが見込めるということです。
ただし、経過的加算は今までの被保険者月数を含めて上限480ヶ月までと決まっています。
例えば22歳の新卒から60歳まで勤めた場合はカウントされる期間は62歳までです。
上限はありますが、60歳を超えて給料をもらいながら年金を増やせることは労働人口の増加にも一役買っているのでなかなか良い仕組みです。
加給年金額は年金における家族手当のようなものです。
65歳未満の配偶者や18歳未満の子供がいる場合に年金額に一定の上乗せがされます。
有難い制度ですが、配偶者にしても子供にしても年齢制限があるのでいつまでも貰えるわけではないことに注意してください。
以上、厚生年金は3種類の年金額の合算となります。
ただし60歳で仕事を辞めた人の多くは結局のところ報酬比例年金額のみとなる可能性が高いです。年収×加入月数が幹となります。
ちなみに厚生年金保険受給者の平均年金月額は147,051円となっています。(国民年金部分を含む)
過去と比べると少しずつですが目減りしています。
まとめ
(節税金額も大きいiDeCoは絶対にはじめたいです)
現状の国民年金と厚生年金の受給金額の目安を確認してみました。
国民年金受給額(年間)の目安は
780,100(満額支給)×■■(納付月数)/480(満額月数)
国民年金の平均受給額は月額55,615円
厚生年金受給額(年間)の目安は
■■(平均標準報酬額)×5.481/1000×△△(被保険者期間)
厚生年金部分の平均受給額は年間約91,436円
以上の通りです。
2つを足した金額が現状として65歳からもらえる年金額となります。
生涯賃金が2億~2億5千万円ほどの一般的なサラリーマンであれば、現状国民年金を満額納めた場合で月額170,000円ほどの年金受給ができるということです。
ただし皆さんがご存知の通り、年金は間違いなく今後
・支給金額は下がっていき
・支給開始年齢は送らされます
だからこそ若いうちから、将来に向けての資産形成準備をする必要があります。
税控除メリットにより所得税や住民税を節税できる「iDeCo」や長期投資向け非課税口座「つみたてNISA」。
この2つの制度は減りゆく年金に対して私たちが取ることのできる、最強の自己防衛手段です。
(特にiDeCoは税金面でやらない手はないです)
これまで「自分には投資は関係がない」と考えていた人も自分を守るための積立投資を一度考えてみてはいかがでしょうか。