経理未経験から割と大手の経理へと転職をして3年になります。非上場ということもあるんですが仕事は特に難しくなく、業務的にも余裕があります。
相変わらず簿記3級すら取っていません。
最近はブログにちょくちょく経理の転職についての質問をいただくようになりました。
その中の1つで気になったものがあります。
「経理は未経験で資格もないんですが、まずは会計事務所に行って勉強をつんでから一般企業を目指した方がいいでしょうか?」
正直なところ、これには全く同意できません。
というよりも絶対にまずは派遣社員からでも一般企業に勤めていた方が未来があると考えています。
少しその理由を書いていきます。
会計事務所の仕事内容(経理事務との違い)
まず会計事務所の仕事内容から説明をしていきます。
会計事務所では主に企業の決算事務または税務顧問をしています。専門性は一般企業の経理より高いですが仕事の汎用性には欠けています。
具体的には法人税や消費税の申告書の作成がメインの業務、スポットで助成金や補助金の申請をする。
そして税務相談などもしていくことになります。
未経験の人は小間使いのような仕事をする
とはいっても経理事務の経験すらない人間が急に決算事務なんて出来ないですよね。
なので未経験の人であれば顧問先の企業と税理士先生との間をつなぐ小間使いのような仕事をさせられます。
未経験の人の会計事務所での仕事
・資料を取りに行ったり渡したり
・計算書類作成のお手伝いをしたり
いわゆる事務作業が多いです。
ちなみに会計事務所は簿記知識が全くない人でも普通に入ることは可能です。なぜなら入れ替わりが激しく基本的に人材難の場合が多いから。
周りには税理士希望者ばかりいる
会計事務所にはあなたの他にも働いてる人がいます。
その中には税理士また公認会計士の資格を持っている人もいますが、多くが現在税理士を目指していて仕事をしながらも勉強中の人です。
会計事務所は給料が安いです。
しかしその反面、税理士資格のための勉強また試験に対しては融通を利かせてくれるメリットもあります。
年末年始また決算の多い3月末は忙しいですが、税理士試験のある8月は閑散期に入ることも会計事務所の特徴です。
(参照:ジャスネットキャリアスタッフ)
なので会計事務所で働く人たちは今は我慢の時だと考えて働く傾向が強いです。
そういった背景もあり会計事務所は一般企業とは違い、あなたを育てようとする風土や人を期待してはいけません。
あくまで自立する為の準備の場所と考えて下さいね。
未経験が企業が採用したい人間になれるかは難しい
しかしそれでも会計事務所にいれば、ある程度の経理事務をあなたは身に着けるようになっていきます。
ただそれは「一般企業が採用したくなるような人間になれるか」と言えば決してそうではないんですよね。
何故ならあなたがやって来たことは事務だから。
企業が会計事務所出身者に求めるもの。それは
「税務面を完全に任すことができる信頼性」です。
それを任せれないのにわざわざ会計事務所で人を採用する必要がないんです。だって経理事務が欲しいならまずは派遣やパートで探すから。
なので会計事務所出身者として企業に採用されたいのならば最低限「中小企業の税務申告書を1人で作成するレベル」になる必要があります。
会計事務所にいれば成長するという甘い考えはやめよう
また「会計事務所にいたら税務知識は仕事で勝手に身についていくんじゃない?」と考えているならそれは非常に甘い考えですので気をつけて下さい。
よくよく考えてみてください。
一般企業に何年も勤める現職経理が「自分たちでやるのはシンドイし怖いから」と任せられるのが決算申告書の作成であり、税務の相談です。
会計事務所にいたら自然とできるようになるほど簡単なものではないんです。それはあなたが自発的に業務をこなして学び得ていくものです。
勝手に身につくわけではありません。
責任は重大であり間違うことは許されません。
本当に会計が好きと言えるのか?
会計事務所の仕事は経理未経験者が思い描いているものとは全く異なる、地味で細かい仕事です。
しかし責任は強くのしかかります。
一般企業の経理の場合は、ある程度の仕事の幅があるのでその中で興味があることを見つけることは可能です。
ただし会計事務所はその特殊性より基本的な仕事内容は似ており、その深度が変化するだけです。
特に税務面の複雑な計算に興味が持てなければ終わりです。
本当にそれが好きじゃなければ地獄です。
何人も辞めていく人を見てきた
長くなりましたが以上の理由により、僕は経理未経験者が闇雲に自分の大切な若さを捨てて会計事務所にいくことを勧めません。
なぜここまで知っているかというと、毎月のように僕は仕事で会計事務所の税理士さんと打ち合わせをしているからです。
そしてその時に税理士さんに帯同している新しい事務員の方を見てきたからです。
特にこの人はすぐにやめていくだろうなという特徴のある人がいます。
それは「今まで勉強がなかなかできなかったけれど会計事務所で仕事しながら税理士科目を1つずつ取りたい」と夢を語る人。
こういった人は毎年いますが半年も続かないんです。
税理士資格は夢を見させる
税理士資格は受験科目がいくつもありますが、1度でも該当の科目が受かればそれは永遠に効力が続きます。
ただしこれがある意味残酷なんですよね。
なぜなら能力のない、また覚悟のない人でも「ずっとやっていたらいつか資格が取れるんじゃないか」と夢を見させてしまうから。
しかしご存知の通り現実は甘くない。
会計事務所に勤めていながらも税理士科目を1つも取れていない。そんな人は非常に多いんです。
また会計事務所での仕事は税理士を取るための勉強として役立つのはあくまで限定的です。
それに勉強なら今からできます。
「会計事務所に行ってひとつ科目を取って…そして企業の経理に…」と考えているならそれは自分都合でやりたくない事を先送りさせているだけです。
今の考えは会計事務所に行っても変わりません。
少し話が違いますが自分は経理に入社した後に簿記を勉強しようと決意しました。しかし結局しませんでした。
人間そんなに変われないんですよね。
なぜ会計事務所より派遣の方がいいのか
ではなんで会計事務所に勤めるくらいなら、派遣からでも大手企業に経理として行った方がいいかについてを答えていきます。
収入が変わらないのに労働環境は悪い
ひとつ目は単純な理由です。
・会計事務所で正社員として働く場合
・派遣社員で大手で経理として働く場合
たいして給料は変わらないから。
それほど会計事務所の給料は低いんです。
また会計事務所は休みも多くありません。特に決算の重なる9月、10月また申告作業の多い年末年始はなかなか休むことができません。
派遣から正社員採用は普通にあるから
僕が派遣社員をすすめるのはこれが一番の理由です。
自分の会社もそうですが、最近は経理で派遣社員から正社員になった人は非常に増えてきています。このケースは全く珍しいことではありません。
特に今後は「派遣社員は3年間以上同じ場所で働くことができない」という決まりが派遣法によりできたので、ますますこの傾向は強くなります。
3年が経つ前に派遣切りされないの?
こういった話をすると
「それだと3年経つまでに派遣切りに合わないの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
ただし実際のところ、そんな簡単に企業は派遣社員を切らないし切れないです。なぜならまた新しく派遣社員を採用をして教育し直すのも大変だから。
また、経理の仕事はどんどんやることも変化していっています。マニュアルの整備されている仕事があっても1年もすればその内容は変わっていきます。
1年また2年という労働期間は言葉に表すと簡単に聞こえますがいくつものドラマがあります。
派遣社員であっても部署全体が見えていき、そして行動をしていくことで会社内での信頼関係もできていきます。
ということもあり今の経理業界は機械的に3年ごとに派遣社員をかえていくことはかえって勿体ないのです。特に問題がなければ正社員としてこのまま勤めて欲しいと企業は考えます。
ましてや体力のある大手企業なら尚更です。
そういった背景もあり今は業界を問わず多くの派遣社員がいたるところで正社員になっています。
経理で正規雇用がされたいのであればまず飛び込むことが一番です。
まとめ
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(とりあえず何にも分からない人はこれから見て)
少し長くなりましたが経理未経験の人が経理で採用されるためのステップとして
・なぜ会計事務所に勤めてはいけないのか
・それであれば派遣社員の方が未来がある
という理由についてを書いてみました。
今はどの企業も人材難にあえいでいます。それは経理も同じです。悩むくらいなら行動した方が間違いなくプラスになります。
というよりも僕は未経験でも正社員として経理職に採用されたので、自分に自信がない方でも転職エージェントに登録をすることをすすめます。
彼らは自信を持たせてくれるプロでした。
僕はここ で相談して転職しました。
この方法が一番無駄がないと思いませんか?
ただし本当に行きたい企業がある場合は、大手の派遣会社 に登録だけはしておいて求人がないかを随時チェックしておくのもよさそうです。
経理の仕事は本当に楽しいです。
自分のやってきたことがスキルとして武器になります。どんどん自分に自信もついてきます。
これを読んだ方が今の自分のように未経験から経理になってくれたら嬉しいです。