連結決算の業務をしているんですが、できるだけ会計基準を統一を会計士さんに求められています。
その中の1つに子会社の消費税仕訳がありました。
決算処理は特に問題ありません。問題は期中の仕訳処理。たどると中間申告に行き当たります。
これがなかなかややこしくてまた僕はいつも忘れてしまうので知識の覚え書きとしてこの辺のところをまとめていきます。
ざっくりいうとこの記事では
・消費税の中間申告のルール
・中間申告をした際の仕訳
について書いていきます。
またどうせならということで、最終的な確定申告処理についてまで調べたのでかいておきます。
消費税の中間申告とは
消費税の中間申告とは前年の消費税の納税額を基準に、年度の途中に納税をするというものです。
個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の消費税の年税額が48万円を超えるものは中間申告の対象となります。
ただしこの48万円は国税分となり地方税分を含みません。
中間申告をしないといけない人は?
自分が消費税の中間申告をしなければいけないかどうかは、前事業年度の消費税の確定申告書の⑨差引税額を見ることでわかります。
その金額が48万円を超えていれば中間申告をする必要があります。
・【⑨差引税額】は国税分の確定消費税
・【⑳納税額】は地方消費税になります。
2つの合計額が事業者として納めた消費税額となります。
ちなみに消費税の国税と地方税の割合は63:17です。つまり消費税は8%ですが6.3%は国へ納付、1.7%は地方へ納付しているということになります。
国税の部分の金額で判断するんやな
納付書は一緒だけどね
そもそも消費税を納める人の条件
中間申告ではなく、そもそも消費税自体を納める事業者の条件について整理しておきます。
個人事業者の場合は
・2年前の課税売上高が1,000万を超えている
・昨年の1/1~6/30の課税売上高が1,000万を超えている
どちらかの条件を満たせば消費税を納める必要があります。
法人事業者の場合は
・2年前の課税売上高が1,000万を超えている
・前事業年度開始の日以降の6ヶ月間の課税売上高が1,000万円以上
・給与支払総額が1,000万以上
・資本金が1,000万円以上
以上1つでも満たせば消費税を納める必要があります。
新規設立の場合は資本金に注意
中間申告の回数と納付期限
中間申告をしなければいけない回数は事業規模により変わります。国税庁の資料から分かりやすく表を作成しました。
前事業年度の確定消費税額の金額で中間申告の回数は決まります。
表にある確定消費税額とは国税分の確定消費税【⑨差引税額】のことです。
納付回数は個人事業者と法人事業者は基本的に同じですが、前年度の確定消費税額が4,800万円以上のときは異なります。
法人の場合は以下の通りになります。
・前年度の消費税額が48万円以下の場合
中間申告を特にする必要はありません。確定申告で1年分の消費税を申告して納付すればOKです。
申告期限は決算末から2ヶ月以内です。
・前年度の消費税額が48万円~400万円以下
年に1回の中間申告となります。
時期については上期末から2ヶ月以内となります。
例:8月末決算であれば2月末が上期なので4月末までに中間申告&納付をします
・前年度の消費税額が400万円~4,800万円以下
年に3回の中間申告となります。
時期については四半期末から2ヶ月以内となります。
例:8月末決算であれば11月.2月,5月が四半期末なので1月,4月,7月末までに中間申告&納付をします。
・前年度の消費税額が4,800万円以上
年に11回の中間申告となります。時期は
・期開始後の1ヶ月分は、期の開始日から3ヶ月以内
・以降の10か月分は対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内。
となります。
「末日の翌日から2ヶ月以内」は分かりにくいですが、その対象となる期末から2ヶ月以内と考えれば問題ありません。
例:8月末決算であれば9月分と10月分は12月末、11月末は1月末で以降は1月ずつ遅れていきます。
〇月以内って分かりにくいな
国税庁の文言は基本こんな感じ。民法で定められてるよ
前年実績に応じて税務署から通知書類がくる
次に実務処理について。
前年の消費税額に応じて所轄の税務署が中間納付税額を記載した「消費税及び地方消費税の中間申告書」及び「納付書」を送付してくるので、事業所はそれに応じた処理が必要となります。
具体的には
・税務署に中間申告書を提出
・銀行で消費税及び地方消費税を納付
以上となります。
中間申告の金額はあらかじめ計算できる
中間納付額って納付書来る前にわかる?
簡単に分かるよ
前年度の国と地方を含めた消費税額を(中間納付回数+1)で割った数字が中間申告の1回あたりの金額の目安となります。
平たくいうなら前年度の消費税確定申告書の
・【⑨差引税額】
・【⑳納税額】
この2つの合計金額を中間納付回数+1で割った数字です。中間申告が年に1回なら2で割り、3回なら4で割ります。
(国税庁:消費税の確定申告の手引きより)
例えば【⑨差引税額】が4,619,900で【⑳納税額】が1,246,600ならば、中間申告は3回ですので4で割ります。
5,866,500÷4=1,466,625
納付金額の1回の目安は1,466,600円ほどとなります。
前述しましたが中間申告の回数はあくまで【⑨差引税額】で決まるので注意してください
中間申告の金額計算の方法
【⑨差引税額】で申告回数を確認
【⑨差引税額】と【⑳納税額】を合計する
合計額を(申告回数+1)で割る
仮決算に基づく中間申告について
また仮決算をしての中間申告をすることもできます。
その場合「前年実績の確定消費税額」ではなく、中間申告対象期間ごとに1つの課税期間とみなし、仮決算をしてそれに基づいて納付するということになります。
たとえば年11回の中間申告をしている場合については、1ヶ月ごとに仮決算をして納付するということです。
・今期の売上が著しく悪い場合
・設備投資を積極的に進めるときに
キャッシュを確保するためにつかえます。
ただし仮決算に基づく中間申告をして、もし納税額がマイナスとなった場合でも還付を受けることはできないので注意をしてください。
いいねこれ!
うん。でもめんどくさいよね
消費税の仕訳処理:中間申告から決算まで
それでは実際に年次単位での仕訳処理を見ていきます。また税抜経理での経理方式となるので注意してください。
中間申告(納付)での消費税仕訳処理
中間申告での納付時の仕訳はこうなります。
納付による仮払消費税を計上します。
自分の場合、仮払税金または仮払金で処理をしている子会社もありました。分かりやすくするためには仮払消費税のほうがいいでしょう。
四半期、中間決算時の消費税仕訳処理
次に期中での四半期また中間決算時について。なお中間申告と中間決算は全くの別物ですので注意してください。
仕訳はこのようになります。
まずは仮払・仮受消費税の相殺仕訳をします。仮受消費税のみが残るのでそれを未払消費税へと振替えます。
これで仮払・仮受消費税は0になり未払消費税が計上されます。未払消費税は支払うべき負債としてBSに計上されます。
では次に仮払消費税が多くなった場合を見てみます。
この場合もまずは相殺仕訳をします。
仮払消費税のみが残るので、それを未収入金へと振替ます。昨季に比べて業績が悪い時はこのようなことも起こりえます。
決算での仕訳処理
最後に決算処理です。
基本的には中間決算や四半期決算時と同じです。
仮払、仮受消費税の相殺をした後に確定納付税額(=最終納付分)を未払消費税計上します。(還付の場合は未収金として)
ただし、実際に納付する消費税は申告書上で算定することから、実際の納付額(または還付額)は仮払消費税と仮受消費税の差と一致しません。
その差額は雑収入や雑損として計上をします。
また、あくまでこれは強制ではありませんが
・決算処理をする前に中間・四半期決算にて計上をした未払消費税(または未収入金)を仮受消費税(または仮払消費税)にもどす。
・他の決算仕訳をしたのちに年間を通して精算する
この方法がおすすめです。
後から見た場合に最終納付額(または還付額)がすぐ分かります。
還付を受ける場合の時もみてみます
還付処理は昨季より業績が悪いだけではなくて、大規模な設備投資をしたときなどにもおこりえます。
この場合も手順は同じです。申告書での還付額が仮払消費税額と仮受消費税額の差より大きければ雑収入で、少なければ雑損失で処理します。
(翌期)消費税の確定申告の仕訳
翌期に消費税の確定申告をします。
申告の期間と納付の期限は
・個人事業主の場合は翌年3月31日まで
・法人の場合は課税期間の末日の翌日から2月以内(期末から2ヶ月以内)
となります。
還付はだいだい申告をしてから1~2ヶ月後
消費税の還付には還付加算金といわれる利息のような金額が上乗せされて支払われます。
ただしその場合は「受取利息」ではなく非課税の雑収入として上乗せ分を計上をするようにしてください。
還付加算金は消費税の不課税取引に該当するからです。
一通りはこれで終わりか
うむ。あとは流れで
まとめ
(この記事では法人税についてまとめました)
法人税の中間申告とは違って少しややこしい「消費税の中間申告と仕訳」についてをまとめてみました。
・自分が消費税の中間申告をしなければいけないかどうかは、前事業年度の消費税の確定申告書の【⑨差引税額】を見る
・確定消費税の国税分で中間申告回数は決まる
・中間また決算仕訳は、仮払いと仮受消費税を相殺して未払消費税額を計上する
とりあえずはそんなところを覚えておけばよさそうです。また追記をしていきたいです。