以前僕は下記記事で年金の平均金額を調べた。
最新のデータとなる『平成28年度 厚生年金保険、国民年金事業の概況』を見てみると
平成28年度の平均年金支給額は
・国民年金の平均が55,464円
・厚生年金は147,927円(国民年金部分含む)
以上である。
国民年金を40年納めた場合の満支給額は64,941円。なので未納の方は割と多い。また上にあげた厚生年金の額(147,927円)は国民年金の平均支給額(55,464円)を含んでいることも注意が必要。
分かってはいたけれど年金の平均は結構少ない。
厚生年金をもらえる方でも15万円以下という現状だ。
年金を増やす方法を書いていく
この記事では
・老後破産
・貧しい、みじめな老後
それらを防ぐために、今後僕たちができる年金給付額をUPする方法についてを書いていく。
あくまで今の制度に基づいての話となるが、今後の人生プランの参考になれば幸いだ。
(参考)年収をUPさせる
厚生年金受給額は平均年収×0.05481×加入期間(年)である程度の数字を求めることができる。
年収が高くなれば納める保険料も増額しその結果、厚生年金の受給額もUPする。
年収別の年金試算すると(大卒から38年勤める仮定)
・平均年収300万の人⇒厚生年金受給額 52,069円
・平均年収400万の人⇒厚生年金受給額 69,426円
・平均年収500万の人⇒厚生年金受給額 86,782円
・平均年収600万の人⇒厚生年金受給額 104,139円
・平均年収700万の人⇒厚生年金受給額 121,495円
以上の厚生年金が毎月、国民年金(満額なら64,941円)に対して上乗せされて支払わる。
つまり平均年収が100万高い会社に38年勤めあげれば、月に17,356円(年間208,272円)ほど厚生年金受給額は高くなる。
かなり微妙。あくまで参考に。
年金の繰下げ需給をする(1ヶ月単位でも)
(年金の繰上げ繰下げによる受給額の変化の表)
年金は原則65歳からの受給である。
しかし
・60歳からに受給時期を繰上げする
・70歳になるまで支給開始を遅らせる(繰下げする)
ことも可能だ。
ただし、繰下げ繰上げによって年金受給額は増減する。
・1ヶ月繰上げをすることで受給額は0.5%下がる
・1ヶ月繰下げをすることで受給額は0.7%上がる
この増減率は一生変わらない。
最大70歳まで受給時期を繰下げれば、元の年金に対して42%増額して年金を受け取ることができる。
しかし早く死んでしまっては元が取れない。自分の健康状態と相談して繰上げや繰下げは考えること。国の言いなりになる必要はない。
ちなみに日本人の平均寿命は
・女性が87.14歳
・男性が80.98歳
(2016年 厚生労働省資料より)
平均的な女性ならまずお得になる繰下げ制度。
男性の場合は4年繰下げ(69歳から受給)が損益分岐点の目安となるか。
(日本年金機構:加給年金の金額(年額))
ただし厚生年金受給者が配偶者の有無などを条件に加算される加給年金は繰下げ期間中は支給されない。繰下げ受給による増額もない。
厚生年金受給者は特に注意が必要だ。
また、繰下げを止めることはいつでもできる。
その場合は65歳からもらえていた(増減のない)年金を過去に遡って一括受取することが可能。1年以上の繰下げ時期がある場合は、次月から増額した年金を受け取るという選択もできる。(その場合は過去分はもらえない)
任意加入制度で国民年金の払い漏れをカバー
(国民年金の加入時期による受給額表)
通常は20歳から60歳までの40年間支払う国民年金。ただし大学在学中などに払っていない人も数多い。自分もそうだ。(25か月分未納)
国民年金を40年間納付した場合の受給額は64,941円。
・1ヶ月納付漏れで135円ほど
・1年納付漏れで1,623円ほど
老後受給できる金額は減っていく(平成30年度基準)。2年納付漏れなら61,694円に減額する。
国民年金の支払期間が40年に満たない人は、任意加入制度を利用することで過去の納付漏れを穴埋めすることができる。
支払できる期間は60歳から65歳になるまでの5年間。
・年金の受給額を増やす目的
・年金の受給資格を満たす目的
その両方を叶える救済制度。
また国民年金の受給資格は今まで25年の資格期間(納付+免除等を合わせた期間)が必要だった。しかし平成29年にそれが10年へと変更された。
国民年金は払ったほうが現状はお得
実際に1年支払ってのシミュレーションをしてみる。
・1年分の国民年金の支払は196,080円
・それによる国民年金の1年の増額は19,476円
年金受給開始(65歳)から10年以上生きる(75歳)なら受給額が支払額を上回る。
年金の支給金額が減っているとはいえ、やっぱり任意加入制度は利用したい。
60歳を超えても働く
(日本年金機構より:年金支給停止調整額)
厚生年金は70歳まで加入ができる。
定年以降も継続して働く場合はそれを支払い続けることになる。収入が下がったとしても加入期間は長くなることで年金支払総額が増えるので、受給額は勿論増える。
ただし年金は働きすぎて収入が増えると減額される。
『年金の月額』と『毎月の給与』の合計が一定以上になるとその分の年金がカットされる。
・65歳未満は合計で28万円
・65歳以上であれば合計で47万円
以上が目安となるので注意。
仮に65歳以上として、その合計が47万円を超えてしまった場合は"超えた分の年金支給額"が1/2カットされるイメージだ。
自営業の方は絶対にやってほしい付加年金
(iDeCoと並んで自営業の方はマスト)
付加年金とは国民年金に毎月400円上乗せして払うことで、支払総額の半分が毎年年金額に上乗せされる制度のこと。
自営業の方のみ加入できる。会社員は加入できない。
具体的には
・200円×付加年金を納付した月数が"生涯"の年金にプラスされる
例をあげてみると
(仮定)20年間国民年金の付加年金を納付した場合
・20年の付加年金納付総額
400円×240ヶ月(20年)=96,000円
・65歳からプラスされる付加年金
200円×240ヶ月(20年)=48,000円
付加年金は国民年金に上乗せしてもらうことができる。つまり65歳から受給して2年たてば元は取れる。
こんなお得な制度はない。
加入をしていない人がいれば市町村の役所窓口でできる。税控除メリットのあるiDeCoと比べても引けを取らない神制度だ。
公的年金以外にも年金を増やす選択肢を
以上、年金受給額を増やすための方法。
年収をUPさせるのは置いておくとして、現実的にできそうなのは
・65歳以降に受け取る繰下げ受給
・任意加入制度で未納分を補填
・60歳を超えても無理しない程度に働く
これくらいだろうか。自営業の方は付加年金も。
また、昨今『75歳までできるように』と物議を呼んでいる繰下げ受給。ただしその制度自体は、年金を1ヶ月繰り下げることで生涯0.7%年金が増加するというお得なもの。
後からの中止も可能で、その際は過去に遡って65歳から年金を一括受給できる。意外と良心的であり評価したい。
ただし年金は毎年目減りしている
(過去5年、国民年金と厚生年金は減額中)
ここまで年金を増やす策を伝えてきた。
ただ悲しいことに国民年金、厚生年金そのどちらも昨今の受給金額は目減りしている。
具体的に過去5年間の月額でそれを確認すると
・国民年金は600円の減額で1%の減少
・厚生年金は平均賃金の場合9,063円の減額
今後は自分で老後の準備をすることが必要になる。
自分の場合はiDeCo(確定拠出型年金)を 楽天証券 で積立中。
・掛け金が税控除対象。所得税と住民税が安くなる
・運用利益が非課税
そんなメリットがある政府主導の投資制度。
年収400万程の自分。毎月のつみたてで年間の所得税と住民税が合計50,000以上節税できている。
自分の年金は自分で作る。
これからはそんな意識が必要だ。