この記事では、SMBC証券で口座開設済みの方を対象にクロス取引のやり方を説明していきます。
なかなか文字だけでは分かりづらいかと思いますので、画像が多めです。また初心者向けの為、基本的な操作も含めて丁寧に説明していきます。
クロス取引とは
一言で書くとローコストで優待をもらうという目的を持った取引です。優待付きの銘柄を一時的に保有して、株価の上下動に左右されずに優待が獲得できます。
ただし株価の変化以外で発生する費用があるので、よく理解した上で取引する事を推奨します。
クロス取引にかかる必須コスト
今回の手順では、信用金利、信用取引貸株料、配当落ち調整金がコストとしてかかります。
信用金利と信用取引貸株料は変更される可能性があるので、都度確認しましょう(https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/margin/online/index.html)。
SMBC日興証券における、取引手数料の説明についてはコチラに載っています→https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/margin/knowledge/001.html
コストシミュレーション
2019年7/4現在の金利でシミュレーションします。(買方金利・・・2.5%、貸株代(制度信用)・・・1.15%、売方金利・・・0%)
1株4000円(配当金30円)の株を100株購入の例で説明します。
売方金利
0%なのでかかるコストは無いので、無視していいです。
信用金利
4000円×100株×2.5%×365が1日の金利です。約27円となり、2日保持したら倍になって約54円です。
信用取引貸株料
4000円×100株×1.15%×365が1日の信用取引貸株料です。約13円となり、2日保持したら倍になって26円です。
配当落ち調整金
買方の配当金・・・
30円×100株-((30円×100株)×20.315%)=2390円
(20.315%は税金でひかれる分です)
売方の配当落調整金・・・
30円×100株×84.685%=2540円
ここから税金がひかれて2540円-(2540円×20.315%)=約2024円
この2390円-2024円=366円がコストになります。
シミュレーションコストまとめ
クロス取引では2日間株を保持するので、コストは54円+26円+366円=448円となります。
必ず発生しないコスト
逆日歩については発生する場合と発生しない場合があるコストになります。
1株あたりにかかるコストなので、100株よりも1000株保持していた場合の方が多くのコストがかかります。
逆日歩につきましては権利付き最終日に逆日歩予報を確認することである程度の予測ができます。逆日歩についての説明はコチラに載っています→https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/margin/knowledge/006.html
事前準備について
クロス取引ができる状態にする為に、実施すべき事を以下にまとめていきます。
信用口座開設
前提として信用取引ができることが条件となりますので、あらかじめ信用口座の開設をしておいてください。信用口座の開設通知がきてからクロス取引を行いましょう。
信用取引についての説明はコチラ→https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/margin/index.html
優待銘柄を探す
株主優待がある銘柄と、入手できる条件をチェックしておきましょう。銘柄によってバラバラなので、個別に確認が必要になります。
基本的には100株保持で優待がゲットできるのですが、「1年以上保持している事」や「1000株以上購入が必要」等の条件がある銘柄もあるので事前に確認しておきましょう。
資金の確認
予算については現物で保持する株数の購入資金と、信用口座で空売りする資金が必要です。
信用口座の残売買可能額については、信用取引で株を購入する画面で確認できるかと思います。
以下画像赤枠で囲った「新規買付」で購入画面に遷移してから、「新規建可能額」を確認しましょう。足りなければ入金が必要です。
貸借銘柄かのチェック
貸借銘柄でないと空売りができないので、対象の銘柄が貸借銘柄であるかを確認します。
確認の方法としては色々ありますが、信用取引の確認画面で確認する方法が手軽かと思います。先ほどの画像のメニュー画面から「新規売付」を選択し、実際に空売り注文をしてみます。
注文入力画面からクロス取引したい銘柄コードを選択し、適当に必須項目を入力して注文をすると以下のエラーメッセージが表示されて先の確認画面に進めない状態になります。
このエラーになる銘柄はエラーメッセージで表示されている通り非貸借銘柄なので、クロス取引ができません。
逆にエラーが表示されずに「注文確認」画面に進める場合、クロス取引ができる貸借銘柄になります。
ここでは貸借銘柄かどうかをチェックするだけでなので、確認画面で注文せずに、必ず「中止する」ボタンで戻りましょう。
貸借銘柄という用語がわからない方はコチラに説明が載っています→ https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ta/J0447.html
権利付き最終日と権利落ち日の確認
クロス取引では、権利付き最終日の引けまでに現物株と空売り株を同数保持し、権利落ち日に現渡しで現物株と空売り株を手放します。
株の購入タイミングについてはコストや売り切れを意識する必要がありますが、基本的にはこの2日間売買をする事で優待をゲットできます。
クロス取引が多く行われる人気のある銘柄では、権利付き最終日が近づいた状態で空売り株が売り切れてしまい、クロス取引ができなくなってしまう事もあります。その場合の対策としては早めに現物株と空売り株を保持しておく事です。
しかし保持期間が長くなればなるほど貸株料のコストは多くかかるので、保持期間についてはかかるコストに注意しましょう。
クロス取引手順について
事前準備が整いましたので、実際の取引をしていきます。クロス取引の大まかな流れは、以下の通りです。
- 信用取引から株の買付
- 信用取引から株の売付
- 買付と売付注文確認
- 買付した株の現引き
- 株の現渡し
では実際の取引画面の画像を使用して順番に説明していきます。
権利付き最終日と権利落ち日について
権利付き最終日とは、権利確定日(企業により異なりますが、基本的に月末の営業日となっていることが多い)の2営業日前となります。権利落ち最終日は権利付き最終日の翌営業日です。
以下、月末営業日が権利確定日となっている場合の2019年7月〜2020年12月までの早見表です。
年月 | 権利付き最終日 (株を持っておく日) |
権利落ち日 (株を売ってもよい日) |
---|---|---|
2019年7月 | 7/29(月) | 7/30(火) |
2019年8月 | 8/28(水) | 8/29(木) |
2019年9月 | 9/26(木) | 9/27(金) |
2019年10月 | 10/29(火) | 10/30(水) |
2019年11月 | 11/27(水) | 11/28(木) |
2019年12月 | 12/26(木) | 12/27(金) |
2020年1月 | 1/29(水) | 1/30(木) |
2020年2月 | 2/26(水) | 2/27(木) |
2020年3月 | 3/27(金) | 3/30(月) |
2020年4月 | 4/27(月) | 4/28(火) |
2020年5月 | 5/27(水) | 5/28(木) |
2020年6月 | 6/26(金) | 6/29(月) |
2020年7月 | 7/29(水) | 7/30(木) |
2020年8月 | 8/27(木) | 8/28(金) |
2020年9月 | 9/28(月) | 9/29(火) |
2020年10月 | 10/28(水) | 10/29(木) |
2020年11月 | 11/26(木) | 11/27(金) |
2020年12月 | 12/28(月) | 12/29(火) |
権利付き最終日までに実施する取引手順
信用取引から株の買付
最初に買付としていますが、売付からやっても大丈夫です。大事なのは買付と売付の株を同じ株価で取引する事です。
権利付き最終日の市場が開く9:00前に注文しておきましょう。では実際に取引して説明していきます。まずはメニュー画面から信用取引の「新規買付」を選択。
ちなみに売付する場合は、「新規売付」になります。「新規売付」については後ほど説明します。
以下の入力画面が表示されるので、「銘柄コード」と「注文数量」は注文したい銘柄と数量、「注文単価」には「成行」と「寄付」を選択します。銘柄コードが分からなければ、「銘柄コードを検索する」リンクで銘柄名を入力する事で検索する事ができます。
「注文内容を確認する」ボタンを押すと、確認画面が表示されます。問題なければ「注文する」で買付が完了です。
信用取引から株の売付
メニュー画面から信用取引の「新規売付」を選択します。
以下の画面が表示されるので、買付の時と同じように「銘柄コード」は注文したい銘柄、「注文数量」は買付した株数と同じ数量、「注文単価」には「成行」と「寄付」を選択します。
画像ではチェックを付け忘れていますが、「期間指定」は「当日中」にチェックを付けましょう。
「注文内容を確認する」ボタンを押すと、確認画面が表示されます。問題なければ「注文する」で売付が完了です。
買付と売付注文確認
注文が正常にできているかの確認をします。「注文約定一覧・取消・訂正」を選択します。
以下のように買と売の2つが表示されていれば大丈夫です。状態は注文中なので、まだ取引は成立していません。
この時点で間違った注文をしてしまった場合は、取消する事で注文のやり直しができます。
以上が権利付き最終日までに実施する取引になります。次は株の取引が完了してから、現引きという取引を行います。
現引きについての説明はコチラ→https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ke/J0329.html
購入後に市場が開いたら実施する取引手順
買付した株の現引き
今回は権利付き最終日の市場が開く前に仕込む場合の例なので、権利付き最終日の市場が開いたらすぐ実施する事をオススメします。
なぜすぐした方がいいかというと、現引きをしないとクロス取引が失敗して優待がもらえないからです。現引きは忘れないうちにすぐやってしまいましょう。では手順の説明に戻ります。
メニュー画面から「建玉一覧(返済・現引・現渡)」を選択します。
するとこのように、取引完了によって買付した株と売付した株が表示されているのがわかります。ちなみにこの-5円と-2円は金利なのでクロス取引のコストになります。ここで「現引」を選択します。
ここでは「注文数量」を選択し、「注文内容を確認する」ボタンを選択します。
内容を確認し、「注文する」ボタンを選択しましょう。
これで現引きが完了したので、優待を獲得する権利が得られました。この状態で権利付き最終日の15:00を迎えると、優待がもらえます。
権利落ち日に実施する取引手順
株の現渡し
最後は現渡しを行い、保有株を手放します。現渡しを行わないと、売付で入手した空売り株が貸株料を支払い続ける羽目になり、コスト増になります。
なるべく権利落ち日の早いタイミングで実施してしまいましょう。操作については現引きとかなり似ています。メニューから「建玉一覧(返済・現引・現渡)」を選択します。
現渡しについての説明はコチラ→https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ke/J0331.html
表示された一覧の中から、売付した株を探します。見つかったらその明細の「現渡」を選択します。
「注文数量」を入力し、「注文内容を確認する」ボタンを選択します。
内容を確認し、「注文する」ボタンを選択します。
これで保有していた株一覧からクロス取引で購入した株が無くなります。ここまでがクロス取引実施手順になります。
優待については3ヶ月後を目処に自宅に郵送されます。後は楽しみに待ちましょう。
まとめ
クロス取引は手順を守るのと、逆日歩を意識して取引すれば手数料のみのローリスクで株主優待を受け取ることができます。
逆日歩については1株あたりかかるコストなので、逆日歩が怖い方は株数を少なくしてクロス取引するのがいいと思います。
以上がクロス取引のやり方になります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。