優待クロスをただ取りするならどこがいい?証券会社を徹底比較
株主優待をノーリスクで受け取れる「クロス取引」をご存知でしょうか?通常、株主優待を受けるためには、株式を保有する必要があります。しかし、株価が値下がりすると、株主優待以上の損失がでてしまいます。
そこで、現物株で保有している銘柄を信用で売り、保有銘柄の株価下落リスクを抑えながら、株主優待をゲットしようという手法が「クロス取引」です。
この記事ではクロス取引の具体的な方法から、オススメの証券会社まで詳しく解説します。優待クロスを利用して、株主優待をオトクに手に入れましょう。
証券会社の比較ポイント
最初に優待クロスにオススメの証券会社を紹介します。証券会社を選ぶポイントは次の2つです。
1.株の売買手数料や諸経費が安いこと
優待クロスでは売りと買いを同時に行うので、売買手数料が安いネット証券を利用しましょう。また、一般信用の貸株料も安い方がおトクです。
2.一般信用の銘柄数が多いこと
一般信用の銘柄数が多いほうが、自分が欲しい優待を手に入れられる可能性が高まります。ただ、1社だけでは銘柄に限りがあるので、できるだけ多くの証券会社で信用口座を開設しておいた方がいいでしょう。
オススメ証券会社3選
カブドットコム証券
出典:カブドットコム証券
- 一般信用売建銘柄数 2,300銘柄
- 貸株料(長期) 1.5%(年率)
カブドットコム証券は、一般信用で売建できる銘柄が多いのが特徴です。一般信用では逆日歩がかからないので、カブドットコム証券の一般信用売り銘柄の多さは、優待クロスに便利です。
楽天証券
出典:楽天証券
- 一般信用売建銘柄数 約3,500銘柄
- 貸株料(無期限) 2.00%
楽天証券も信用売りができる銘柄がたくさんあります。手数料も業界最安値水準。コストを抑えたい投資家に適しています。信用取引口座を開設すると、人気取引ツール「マーケットスピード」がずっと無料で使えるのも魅力です。
SBI証券
出典:SBI証券
- 一般信用売建銘柄数 約2,000銘柄
- 貸株料(無期限) 2.00%
SBI証券はネット証券NO1の口座数と預かり資産を誇ります。信用取引にも力を入れていて、約2,000銘柄が一般信用で売建できます。多くの個人投資家がSBI証券を利用していて、優待クロスだけでなく、IPO(新規公開)や外国証券など他のサービスも充実しています。株式投資をする場合は、まず持っていてほしい証券会社です。
優待クロスで利用して「ノーリスク」で株主優待を手に入れるには
優待クロスを行うには、「クロス取引」をする必要があります。クロス取引とは、ある株式の銘柄に対して、同じ値段、同じ数量で買い注文と売り注文を同時にだして約定させることです。通常は以下の組み合わせで発注します。
現物株買い + 信用売り
信用売りとは、証券会社から株券を借りて株式を売ることで、株価が下がると利益になる取引です。
優待クロスの注意点
1.信用取引口座を開設しなければならない
優待クロスを始めるためには、信用口座を開設する必要があります。信用口座を開くには審査が必要です。ただし、Webサイト上での手続きだけで済むので安心してください。
信用取引は、最低委託保証金(信用取引を行うための資金)が30万円と決まっています。そして、信用取引で新規建玉を建てるために必要な保証金の割合(委託保証金率)は30%です。たとえば、200万円分の株式を信用売りするためには、
200万円×30%=60万円
60万円以上の資金が必要になります。
2.信用売りできる銘柄は限られている
株主優待のクロス取引をしようとしても、すべての銘柄で信用売りができるわけではありません。信用取引には、次の2種類があります。
制度信用取引
証券取引所が定めた銘柄で信用取引ができます。信用売りができる銘柄を「貸借銘柄」といいます。返済期間は6カ月です。
一般信用取引
各証券会社が定めた銘柄で信用取引が可能です返済期限は1日~無期限までいろいろあります。
優待クロスを行うためには、「制度信用」か「一般信用」に該当しなければなりません。 証券会社で銘柄を調べれば、信用売りができるかどうか簡単に調べることができます。たとえば、楽天証券のマーケットスピードでは、銘柄の詳細欄で以下のように信用取引ができるかどうか確かめられます。
出典:楽天証券
3.信用売りはコストがかかる
優待クロスは現物株買いと信用売りを同時に行う取引です。現物株買いにかかるコストは売買手数料だけですが、信用売りには売買手数料以外にも次のようなコストがかかります。
信用取引の貸株料
信用売りは、証券会社に株を借りて売る取引なので、株を借りた日数分だけコスト(年率1~3%程度)がかかります。一般信用の方が制度信用よりも高い傾向にあります。
逆日歩(制度信用のみ)
逆日歩は制度信用のみにかかるコストで、一般信用では発生しません。制度信用の場合、信用売りしている銘柄が株不足になると、追加のレンタル料がかかります。このレンタル料が逆日歩です。
人気のある優待銘柄だと優待クロスを行う投資家が多いので、高額の逆日歩が発生する可能性があります。場合によっては、優待価値以上のコストがかかることがあるので注意が必要です。
逆日歩は人気度によって異なるので、どのぐらいになるか事前にわかりません。ですから、優待クロスを行う場合は、逆日歩が発生しない「一般信用」を利用するようにしましょう。
優待クロスは一般信用を利用しよう
優待クロスは、まず「一般信用」を利用しましょう。その理由は次の2つです。
1.逆日歩がかからない
さきほどもご説明しましたが、制度信用には逆日歩がかかります。逆日歩が発生するかどうかは、取引の翌営業日にならないとわかりません。優待人気の高い銘柄は高額の逆日歩が発生することがあります。
予想外のコストを防ぐためにも、一般信用を利用しましょう。
2.無期限信用でのみ売りができる銘柄がある
最近は、一般信用に力を入れている証券会社が増えています。制度信用では売りができない銘柄でも、一般信用なら可能な場合があります。ただし、各証券会社によって信用売りができる銘柄が異なるので、複数の証券会社で一般信用銘柄を確認しましょう。
まとめ
この記事では、株主優待を狙うための優待クロスの具体的なやり方や注意点、オススメの証券会社について紹介しました。
優待クロスは、株価下落のリスクがなく株主優待を獲得できるおトクな手法です。ただし、売買手数料や貸株料などのコストがかかることや、一般信用では証券会社の在庫がなくなることがあることに注意しましょう。
まずは証券会社の信用口座を開いて、気になる株主優待を探してみましょう。リスクが低いので、優待クロスから株式投資を始めるのもオススメです。