(厚生労働省 平成30年度の年金額改定より)
2018年の年金額改定が厚生労働省より発表された。今年は去年と変わらない。
・国民年金の支給額は64,941円(満額納付時)
・厚生年金の標準支給額は156,336円(年収513万×40年)
(※上表の厚生年金額221,277は夫婦合わせての数字)
・物価変動率
・名目手取り賃金変動率
それら参考指標に対して
・現役被保険者の減少と平均余命の伸びに基づいて設計されるマクロ経済スライド
以上によって年金は調整が行われる。
2017年は物価変動率が0.5%上昇した。しかし賃金変動率は0.4%のマイナス。よって年金支給額を物価や賃金の動向より抑える「マクロ経済スライド」。それが今年は発動せず。
(厚生労働省 資料より)
ただし内部的には来年へと繰り越される(マイナス0.3%)
- 過去5年間、年金は減少傾向
- 年金の最新の平均支給額を調べてみた
- 国民年金の平均支給額は55,615円(平成29年度)
- 厚生年金の平均支給額は147,051円(平成29年度)
- 専業主婦・共働き世帯などケース別に確認
- 年金支給額と実際の手取りは違うので注意
- 老後の生活費の平均はいくらかかるか
- まとめ 下流老人とならないためには
過去5年間、年金は減少傾向
過去5年の年金額改定を表にして変化を見てみた。
・国民年金は65,541円⇒64,941円
600円の減額で1%の減少
・厚生年金は163,599円⇒156,336円
9,063円の減額で5.5%減少
少しづつ減ってきている年金支給額。平均寿命は伸びているが現役世代が少なくなっているのだからある程度は仕方がない。
ただしこの表、あくまで平均ではない。
・国民年金は40年間の満額納付
・厚生年金は年収513万(月給42.8万)を40年間
厚生労働省がそれらの条件で出している数字。平均に関しては別の資料を見る必要がある。
年金の最新の平均支給額を調べてみた
最新の年金平均支給額は昨年12月に発表された『平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』が1番新しいのでこちらの内容を確認していく。
結論からいうと最新の年金支給額平均は
・国民年金の平均支給額は55,615円
・厚生年金の平均支給額は147,051円
以上となる。
また少し語弊のある言い方になるが分かりやすく言うと、この厚生年金の額は国民年金の平均支給額(55,615円)を含んでいる。
それを含まない場合の厚生年金平均支給額は91,436円。
国民年金への上乗せ部分。そんな感じでとらえてくれれば。
国民年金の平均支給額は55,615円(平成29年度)
国民年金の平均支給額は55,615円。
40年間の満額納付で64,941円受給できることから計算すると、平均で34年分の納付。つまり6年間分は未納ということが分かる。
また5年前と比べて国民年金の平均支給額は増えている。
・平均支給額 55,464⇒55,615(151円の増加)
しかしこれは年金そのものが増えたわけではない。上にあげたように40年間満額納めた数字となる年金額改定は悪くなっている。
つまり年金の未納者が減っただけだ。
国民年金の受給者、総受給額は激増
国民年金の受給者は前年度より63万人増加(1.9%)して3,386万人。5年前と比べて300万人以上増えている。
現在の日本人口は1億2,667万8千人。
なので国民の4人に1人以上が受給している計算。いかに高齢化が進んでいるかが分かる。(平成29年9月総務省統計より)
また国民年金受給者の年金総額は22兆7,156億円。
前年対比で(+2.4%)、 5,405億円増加している。
厚生年金の平均支給額は147,051円(平成29年度)
厚生年金の平均支給額は147,051円。
これはいわゆる国民年金部分も含んだ金額。平均55,615の国民年金支給額に対して厚生年金が91,436円上乗せされている。
5年前と比較してみると
・平均支給額では151,374⇒147,051(4,323円の減少)
平成27年、28年の近年ではプラスに見える。しかしそれにはカラクリがあって、先にあげた国民年金の平均があがっているから。上乗せ部分の厚生年金のみで考えると平均支給額はずっとマイナスだ。
厚生年金の被保険者(加入者)は激増している
・正社員登用の促進
・大手企業のパートタイマー社会保険適用拡大政策
そのかいもあり厚生年金の被保険者数(平成28年度末)は3,822万人と前年度より135万人増加した。特に女子は75万人増加、前年比+5.6%と跳ね上がっている。
ただし受給者も前年度より39万人増加(1.2%)している。こちらも国民年金と同様、5年間で300万人近く増えている。
依然厳しい年金事業。
育児休業の保険料免除者は36万人。辞めるなら取ってから
(年収400万なら 年間60万近くの保険料免除にも)
また育児休業中の保険料免除者だが36万人と昨年より2万人増加。そのうち男子は3千人。とても少ないが前年よりも千人は増えている。
育児休業中の保険料免除は、
・社会保険料を払わなくてすむだけでなく
・保険料を納付したとみなされる(年金UPに)
そんな神制度。
だからこそ子供ができても仕事はやめない方がいい。辞める場合はそれを取った後に復帰してすぐやめればいいのだ。
専業主婦・共働き世帯などケース別に確認
・国民年金の平均支給額は55,464円
・厚生年金の平均支給額は147,927円
ということで専業主婦世帯、また共働き世帯の平均支給額を確認してみると
・専業主婦世帯の平均年金支給額は203,391円
・共働き世帯の平均年金支給額は295,854円
この結果になるが、実際はそんなに簡単な話でもない。
まず男性と女性の賃金格差は大きい。厚生労働省の資料によると平成28年度末現在での1人当たりの標準報酬額(年額)は
・男子は501万2千円
・女子は329万2千円
年金額改定通知によれば『年収513.6万円を40年の場合。厚生年金の上乗せ部分は91,395円』
なので、それを単純に上にあげた男女別年収にあてはめて計算すると厚生年金の上乗せ部分は
・男子は89,188円
・女子は58,581円
こういった結果になる。まとめてみると
・独身で会社勤めをしていない人平均 55,464円
(国民年金満額納付なら64,941円)
・独身で会社勤めをしてきた男子平均 144,652円
(国民年金満額納付なら154,129円)
・独身で会社勤めをしてきた女子平均 114,045円
(国民年金満額納付なら123,522円)
・既婚で片働き(男子)世帯平均 200,116円
(国民年金満額納付なら219,070円)
・既婚で片働き(女子)世帯平均 169,509円
(国民年金満額納付なら188,463円)
・既婚で共働き世帯平均 258,697円
(国民年金満額納付なら277,651円)
こんな感じに。あくまで概算値でありただの平均。ただしあまり細かく計算してしまうともはや平均とはなんなのか分からなくなる。
参考程度にとどめて欲しい。
年金支給額と実際の手取りは違うので注意
(国税庁より 65歳を超えても120万以上は課税対象)
今までまとめた金額はあくまで年金の額面だ。実際にそこから社会保険料と税金が引かれる。
具体的には以下の通り。
・国民健康保険料
・後期高齢者医療制度支援金
・介護保険料
・所得税
・住民税
住んでいる市によって金額は異なるが厚生年金の場合手取り比率は額面の85%~90%となるのが一般的。
また、健康保険料についてはこちらの計算サイトが分かりやすい。計算してみるのも。
国民健康保険計算機|全国の市区町村の国民健康保険料を自動計算できる
老後の生活費の平均はいくらかかるか
(総務省:高齢夫婦無職世帯の家計収支)
高齢夫婦無職世帯の平均支出は263,717円。総務省による家計収支の概況にて公表がされている。
夫婦世帯の平均収入は209,198円。そのうち年金による収入は191,880円。
非消費支出を含めると毎月の赤字は54,519円。
65歳から年金を貰ったとしても平均で年間65万円ほど不足しているという現実。
主な内訳としては以下の通り
・食費・・64,520円(27.4%)
・住居・・13,658円(5.8%)
・光熱費・・19,309円(8.2%)
・生活用品・・9,419円(4%)
・被服費・・6,593円(2.8%)
・保険医療・・15,541円(6.6%)
・交通通信・・27,551円(11.7%)
・教育娯楽・・24,961円(10.6%)
・交際費・・27,315円(11.6%)
・その他・・26,608円(11.3%)
・非消費支出・・28,240円
単身世帯でも毎月40,715円赤字に
単身世帯の平均収入は114,027円。そのうち年金による収入は107,171円。
その一方で総合支出は154,772円。
赤字は40,715円(年間約48万)であるとわかる。
65歳から85歳までの20年生きるとして、約1,000万の貯蓄は最低限欲しいところ。また介護や葬式などを考えるともう少し余裕を見たい。
まとめ 下流老人とならないためには
厚生労働省より発表された標準年金額は以下の通り
・国民年金の支給額は64,941円(満額納付時)
・厚生年金の平均支給額は156,336円(年収513万×40年)
実際の年金の平均受給額は
・国民年金の平均支給額は55,464円
・厚生年金の平均支給額は147,927円
以上となる。
またこれはあくまで額面金額の平均。
実際の年金支給額はそこから所得税や社会保険料などが引かれることにも注意をすること。(85%~90%くらいを想定しておく)
そして今の年金制度。少子高齢化社会が進み、今後ますますカット、また引き伸ばしがされていく。実際に世界各国ではそれはもう始まっている
(アメリカは67歳からの受給に)
日本の年金は今後悪化の道をたどっていく。
今は年金の繰り下げをすることで年間0.7%ほど受給は増える。最大5年間、70歳まで引き延ばせるこの制度。
しかしいつかそれが当たり前になる可能性もあるわけだ。もちろん受給額は同じまま。実際に国は年金支給年齢の引き下げを今後75歳までにできる制度の策定を進めている。
下流老人とならないためには
自分で年金の上乗せをしていく必要がある。
先細りする公的年金を前にして、国は国民に対して税メリットのある投資制度をどんどん進めるようになってきた。
・運用益が全額非課税になるつみたてNISA
・毎月の積み立てに応じて税金も安くなるiDeCo
自分は普通のNISAをしているのでつみたてNISAはしていない。ただしiDeCoは楽天ポイントキャンペーンもある 楽天証券 で積立中。
年金は自分で確保する。自分の身は自分で守る。それが今後のスタンダード。
できるだけ早い準備をしていこう。