インデックス投資ばかりを見ているとその資産クラス本来の利益とかよりもコストばかりが気になってきて。
なんというかどれだけ金融機関を儲けさせないかみたいなことを考えてしまう。いつの日のことか僕は問い合わせメールに『Amazonのリンク貼るなんてズルいです』と言われた事があるが似たような感じだろうか
しかしよく考えてみてほしい
①コスト1%リターン5%の資産運用方法
②コスト0.5%リターン3%の資産運用方法
間違いなくほしいのは①だよね
こんな当たり前の考え方をインデックス投資だけをみていると見失いがちになる。
外貨建て貯蓄型保険の代理店手数料ってどれくらいなんだろう
そんな時にまあ1番自分がよく思っていなかったのは外貨建ての貯蓄型保険。
保険商品を運用する会社と窓口で売る側である銀行どちらからも手数料を取られるのでその資産運用に対しての手数料率については非常に高いときいたことがあった。
しかしそれについて僕は具体的な数字を投資信託のようにみたわけでもない。
実際のところ金融機関に支払っている代理店手数料ってどれくらいとられるんだろう。
そんなことを気にしながらいると、ちょうど銀行に行ったときマニュライフ生命のこだわり個人年金保険を勧められた僕。
販売店となる銀行へ支払うことになる(払込分から徴収されていて追加で払うわけではない)代理店手数料について銀行員さんに聞いてみた。
結果は以下の通りだった。
手数料の金額については、年間12万円を支払うという仮定での計算を僕が独自でしている。
例えば自分の場合、30年積立をしたとして支払う保険料の総額は3,600,000円
それに対して内部的に代理店へ支払っている手数料は3,660円であり保険料総額の約0.1%を占めている。
この0.1%の代理店手数料についてどう思うかは自由だけれど僕個人としては意外と低いのかなと思った。(間違いがあれば教えてほしいです)
『 外貨建て個人年金は円建てのそれに比べて手数料がめちゃくちゃ高い。』
その理由のみで僕は外貨建て保険を避けて円建ての個人年金に加入していた。
ただ別に円建て保険と外貨建て保険の運用益について比べてみたわけでもなく、闇雲にその評判の悪さだったりのみをきいて判断をしていたことは否定できない。そう考えたときこの意外と低い代理店手数料に自分は驚きを隠せなかった。
そしてまた、その外貨建て個人年金保険の一番の特徴となる外債運用という魅力については無視していた。
しかしよく考えてみたら外債は国債と比較にならないほど利率がいい。特に今なんて国債は全くその運用に対してのリターンに寄与していないわけで。
円建の保険よりも外貨建の保険の方が資産を預かり運営をする側が投資による運用益を得ていることは間違いないのだ。それであれば必然的に個人にもメリットはあるんじゃないだろうか。
そこで僕は実際に個人が享受することになる外貨建て保険と円建て保険についての運用益についてをシュミレーションして比較することにした。
外貨建て個人年金保険については銀行ですすめられた『マニュライフ生命のこだわり個人年金』を
円建て個人年金保険については以前その利率を調べた『JA共済ライフロード』を比較対象とすることにする。
保証されている利率での比較をしてみた
(この時の適用為替レートは1ドル114.22円だった)
まず僕は、両者においてその保証される利率での将来の返戻金について比べてみることとした。
マニュライフ生命のこだわり個人年金の利率は市場金利の上昇や下落によってゆるやかに上昇・下落をする仕組みとなっているのだが、年1.5%の最低利率は保証される。
一方でライフロードの最低保証利率は当初5年間が0.5%、6年目以降からは0.75%となっており仮に30歳で60歳になるまでの払込をする場合についての平均利率については0.6%ほどとなる。
それらの利率で計算した場合
マニュライフ生命のこだわり個人年金の返戻金は3,985,000円(概算)
それに対してJA共済ライフロードの返戻金は3,836,000円(概算)
約150,000円ほどの差となった。正直なところ自分はあまりこの差ではマニュライフ生命のそれについて積立をしたくないなと思った。
円建てとは違い為替変動リスクがあることを考えるとそのリスクプレミアムを150,000円とするには安すぎるのではないかと思ったからだ。
為替変動での損益分岐点はどの程度になるか計算してみた
先ほど計算したのは為替レートが積み立て時と受け取り時について同じだったという仮定。しかしそんなことは現実問題ありえない。なんせ僕が銀行で見積もりをしたときの1ドルは日本円で114円ほどだったのにそれから1ヶ月もたたずした今は110円を切っているのだから。
となるとマニュライフ生命のこだわり個人年金はいったいいくらの為替変動までであれば元本割れがしないか、またライフロードに対して対抗できるのかが気になった僕は計算をしてみることにした。
以下はマニュライフ生命のこだわり個人年金が保証利率である1.5%で運営されたと仮定したときにおける為替変動による返戻金額の一覧。(金額は全て概算)
(受取時)1ドル当たり1円の円高になった場合・・3,950,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり2円の円高になった場合・・3,916,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり3円の円高になった場合・・3,882,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり4円の円高になった場合・・3,846,000(概算)
ーーーーーーー(個人年金JA共済ライフロードの壁)--------
(受取時)1ドル当たり5円の円高になった場合・・3,811,000(概算)
(受取時)1ドル当たり6円の円高になった場合・・3,776,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり7円の円高になった場合・・3,741,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり8円の円高になった場合・・3,706,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり9円の円高になった場合・・3,671,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり10円の円高になった場合・・3,636,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり11円の円高になった場合・・3,601,000円(概算)
ーーーーーーーー(元本割れの壁)----------------
(受取時)1ドル当たり12円の円高になった場合・・3,566,000円(概算)
5円以上の円高にならなければライフロードよりも返戻金を多く貰うことができる。
また、元本割れについては11円の円高までは耐えるということが分かった。
為替変動がそれなりにあっても大きく損をしたりしないということが分かったのは自分にとっては意外だった。むしろ為替は高いときも低いときも波のように繰り返すので自分の欲しいときにお金をもらえる分マニュライフ生命の方に分があるかもしれない。
しかし問題もある。
この保険は老後のためのお金だということだ。自分が歳を老いて定期的な収入をなくしたときにはいつだって必要とあらば解約する必要があるのだ。
その時になって『今は為替相場が悪いから待って』とは実際問題言えないだろう。
現状の利率での比較をしてみた
次に僕は現在、両者が実際に現時点で運用をしている利率での比較で返戻金の計算をしてみることとした。
マニュライフ生命のこだわり個人年金については米ドル建て2017年8月時点での積立利率は2.6%
一方JA共済ライフロードについては6年目以降からは1.5%の利率だけれど1~5年目は0.5%の積立利率となるので30年での利率平均は1.4%程になる。
積立利率2.6%を30年間保ったとしてマニュライフ生命のこだわり個人年金の返戻金は5,465,000円(概算)
それに対してJA共済ライフロードの返戻金は4,530,000円(概算)
約935,000円ほどの差となった。現状の積立利率の差異はここまでの差となるのか。。一概に手数料が高いからといって外貨建て保険を悪く思っていたけれどこの100万ほどの差を見るとそれは間違いかもしれないと自分は思った。
為替変動での損益分岐点はどのあたりになるか計算をしてみた
それでは今回のケースについても為替変動による元本割れのラインを計算してみることとした。
さすがに1円ずつ書いていくとキリがないので要点の部分だけを抜き出して書いてみる。
以下はマニュライフ生命のこだわり個人年金が2017年8月時点での利率である2.6%で運営されたと仮定したときにおける為替変動による返戻金額の一覧。(金額は全て概算)
(受取時)1ドル当たり1円の円高になった場合・・5,419,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり2円の円高になった場合・・5,371,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり3円の円高になった場合・・5,323,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり4円の円高になった場合・・5,275,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり5円の円高になった場合・・5,227,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり10円の円高になった場合・・4,987,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり15円の円高になった場合・・4,746,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり19円の円高になった場合・・4,554,388円(概算)
ーーーーーーー(個人年金JA共済ライフロードの壁)--------
(受取時)1ドル当たり20円の円高になった場合・・4,506,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり30円の円高になった場合・・4,025,000円(概算)
(受取時)1ドル当たり38円の円高になった場合・・3,640,000円(概算)
ーーーーーーーー(元本割れの壁)----------------
(受取時)1ドル当たり39円の円高になった場合・・3,592,000円(概算)
20円の円高になってやっとライフロードと並ぶ返戻金額だ。
あれ?これならさすがにもう外貨建て保険は円建てのそれと比べて手数料が高くても掛け金を積み立てる個人としては得をするといってしまってもいいのではないだろうか。
元本割れする金額については39円の円高となってから。
今回自分は2017年7月末の為替レート114円ほどの想定でシュミレーションを行ったので1ドル76円までであれば元本割れは起きないということになる。
さすがにそこまで円高になるのは想定しにくくないか?
また、為替相場の悪い部分ばかり書いているのでそれについてマイナスなことしか書いていなかった自分。
しかし円安となればもちろんその分の為替差益を得ることができるのも外貨建て保険のメリット。
為替差益は不安定であるという部分はあるが決してデメリットばかりでもないのだ。
比較をしたあとに気付いた衝撃の事実
なんとなく予想はしていたのだけれど。
実際に手数料を多くとられてはいるが、現状の円建て個人年金保険と比較して外貨建個人年金保険は悪い商品でないような気がしてきた。
やはりなんといっても利率が違う。
たまたまマニュライフ生命のこだわり個人年金がとても利率のいい商品なのかもしれないけれど、銀行が窓口で売る外貨建て個人年金保険もあながち悪いもんでもないかもしれないな。
そんなふうに僕は満足した気持ちになっていた。
説明書の最後のページに書かれてあるこれらを見るまでは・・。
・年金支払期間中にご負担いただく費用
年金支払期間中は、その年金支払い日に責任準備金額に0.4%を乗じた金額を年金管理費として控除します。
いやいやいや・・・。手数料を数十年払わせておいて何を言っているんですかねぇ。
そして読み進めていくとまた良く分かりにくいことが書いてある。
・保険関係費
払い込んだ保険料のうち、その一部は保険契約の締結・維持に係る費用に充てられそれらを除いた金額が運用されます。↼(まぁ分かる)
また、契約後も定期的に保険契約の締結・維持・死亡保障に係る費用等が控除されます↼(分からない)
何なんですかねえこれは。僕が上でしたシュミレーションに意味はあったんだろうか。
これら2つの費用はシュミレーションの金額からまた更に控除されるということだろうか。もう訳が分からない。非常に分かりにくい。
そしてこれら2つの費用について。
僕と金融機関の人がする30分ほどの保険の説明の中において1度もそれらへの言及はされなかった。
『代理店手数料はお客様が更に追加して支払うものではない』ということだけは連呼されたのだがこの費用に対しては全くのノータッチ。
だからこそ余計に悪い方に疑ってしまう。
意図してるかまたしていないかは分からないが、やっぱり窓口で売られる金融商品は難しい言葉を多用し誤魔化して、手数料を取りたがっているだけなんじゃないだろうか。
つまるとこ、うさんくさい。
手数料を取るのはいいんだ。
たとえば投資信託であればきちんと信託報酬は記載されている。
それらについて知識の薄い人でもその商品のコストについてきちんと数字での実感と比較ができる。
しかし保険はどうだろう。
販売をする方からすれば、保険に関してもきちんと説明書を読めばその手数料については嘘偽りなく書いてありますというかもしれない。
ただ僕は反論したい。
説明書に書いてあろうが、加入者が理解してなかったら意味なくない?と。
外貨建て個人年金保険入っている人の殆どが先ほどいった2つの経費に対しての内容を理解して加入しただろうか。してないんじゃないかなぁ。
やはり僕は外貨建て個人年金保険が好きにはなれそうにない。
この記事を読んでくれた人には、きちんとした利率の比較ができなかったことを申し訳なく思う。
しかし僕はもうここでその比較検証を終えます。
皆さん慎重な保険の加入をしてくださいね。