2018年1月末に買付停止。3月6日から販売を再開。そしてまた買付停止になる投資信託。それが
"SBI小型成長株ファンドジェイクール"
買付停止の理由は売れなくなったからじゃない。
むしろその逆。
売れ過ぎたことによって、小型成長株を買い付けるファンドとしては規模が大きくなり過ぎたことが原因だ。
買付開始後は販売金額ランキングの常に上位
(SBI証券 の投資信託販売ランキング)
買付が再開になって更にその人気は高まっている。
この記事ではそんな大人気アクティブファンド「ジェイクール」についてその内容を徹底的に評価をして行く。
口数でしか買えないことが難点。しかし数多あるアクティブファンドの中で、数少ないコストに見合う価値あるファンドというのが最終的な結論だ。
ジェイクールの基本的なデータ
まずは基本的なデータから
運用会社:SBIアセットマネジメント
信託期間:2005年12月26日から無期限
買付手数料:無料( SBI証券 、楽天証券 、マネックス証券)
信託報酬:税抜 1.7%
信託財産留保額:0.3%
投資対象:国内株式(中小型)
分配金実績:今まで1度もなし
買付単位:口数のみ。金額単位購入はできない
過去年度リターンは以下の通り
2013年度リターン:105.67%
2014年度リターン:7.12%
2015年度リターン:6.19%
2016年度リターン:16.25%
2017年度リターン:93.64%
ジェイクールの特徴ってなに?
ジェイクールは国内の中小型株式へと投資するファンド。その特徴はIPO企業への投資にある。(原則として株式公開後3年以内の企業が投資対象)
(ジェイクール目論見書より)
新規株式公開の時期を「第2の創業期」と位置付ける。
それを成長の契機として今後更に成長の加速が期待できる「次代を拓く革新高成長企業」に厳選投資する。
時間と銘柄の分散をした投資
銘柄選択には同社のアクティブファンド「ジェイリバイブ」らと同様、収益性や成長性などの財務調査や業績判断だけにとどまらず
・社長インタビュー
・現場視察
までの徹底した企業調査が行われる。
そうして総合的に判断された企業群に対して
・銘柄分散(革新的な高成長企業へ)
・時間分散(1度に投資しずに徐々に投資)
・組み入れ比率制限
による分散投資が行われる。
中小型株式としての特徴
大型銘柄は既に投資家に
・経営構造
・事業の将来性
などその多くは調べられていて、現在の株価は未来への期待や不安を含めた価値が内在している。そんな銘柄は数多い。
それに比べて中小型株式
まだ多くの投資家にとって未開発部分が多くある。ファンドマネージャーがそれらを掘り下げていくことで本当の企業価値を発掘できるメリットがある。
ただしあくまでその市場規模は大きくない。
ファンドとしての規模が大きくなればなるほど、身動きがとれなくなっていく。投資の効率性も低下していく。
日本の成長株投資で実績をあげた超有名ファンド「ひふみ」が海外への投資比率を高めることにはそんな背景も起因している。
組入れ銘柄と業種別構成比率(2018年1月末時点)
業種別構成比率は順に
・サービス業 25.99%
・情報・通信業 21.25%
・小売業 10.45%
その過半数を非製造業が占めている。
組入上位銘柄は順に
・ウィルグループ(サービス業)
京都に本社を置く販売員や計作業員の人材派遣、業務請負を展開するグループの純粋持株会社
・Hamee(小売業)
世界中のEC事業者をターゲットにした新規事業、サービスを開発、展開する小売・情報通信会社
・メニコン(精密機器)
国内最大手のコンタクトレンズメーカー
また、2018年1月末時点での現金比率は23.63%と非常に高くなっているのも特徴的だ。
ジェイリバイブとの違いは?
ジェイリバイブ、ジェイクールそのどちらも日本の中小型株式を投資対象とする点は変わらない。簡単な違いとしては
ジェイリバイブは株価が下落した銘柄の中から、財務安定性や業績の安定を基準として割安な企業へと投資する。
ジェイクールは新規株式公開をした銘柄の中から、今後更に成長の加速が期待できる企業へと投資をする。
どちらかといえばジェイリバイブの方が安定志向。
リターンはどれくらい違うのか
ジェイリバイブとジェイクールのリターンを比較してみた。直近ではジェイクールの方に分がある。
過去10年間ではジェイリバイブの方が上
・ジェイリバイブの平均リターンは24.4%
・ジェイクールの平均リターンは22.1%
過去5年間ではジェイクールの方が上
・ジェイリバイブの平均リターンは42.9%
・ジェイクールの平均リターンは45.8%
過去3年間ではジェイクールの方が上
・ジェイリバイブの平均リターンは33.1%
・ジェイクールの平均リターンは38.7%
他の日本株アクティブファンドとも比較してみる。
インデックスの参考指標としてTOPIX、他に国内小型で実績を残し続けているファンド「J-フロンティア」、「ひふみ」とのパフォーマンスを比較。
過去5年でのリターン順に並べると
・ジェイクール
・Jーフロンティア
・ひふみ
・TOPIX
過去3年でのリターン順に並べると
・ジェイクール
・Jーフロンティア
・ひふみ
・TOPIX
他のアクティブファンドやインデックスファンドと比べてもジェイクールは圧倒的なパフォーマンスを残している。
あえて懸念をあげるならリーマンショックのあった2008年。TOPIXより大きいその値下げ幅(-50.9%)。
新興企業を投資対象することから金融不安時にもある程度の覚悟が必要。ただしその分復調も早く勢いがつけば止まらない。
2018年度もジェイクールは好調
ジェイクールの好調は今年になっても継続。
下げ相場の続く中、他ファンドよりもその値下がりは踏みとどまっている。
また買付が停止になる可能性はある?
ジェイクールは2018年1月末に買付を停止した。
そのときのコメントは以下の通り。
近時、当該ファンドの信託財産の運用にあたって、当該ファンドを含め同じ戦略に基づき運用しているファ
ンドの資産残高が急拡大していることを受け、弊社及び運用助言先であるエンジェルジャパン・アセットマネ
ジメント株式会社との間で今後の対応について協議を行いました。その結果、主要投資対象である国内株式
の新興市場の規模および流動性などを総合的に勘案すると、現状での資産残高の拡大が今後も続いた場
合、当該ファンドにおける付加価値のご提供が将来的に困難になる恐れがあるとの結論に至り、投資家の皆
様にご迷惑をおかけすることを避けるために、やむを得ず新規のご購入お申込み受付を停止することといた
しました。
そして3月6日からまた買付できるように。
ちなみに再開した際にその理由をジェイクールの運用をするSBIアセットマネジメントは特にコメントしていない。
考えられる理由としては1つ。2月5日にあった相場の急落。それによって多くの資金がジェイクールから引き上げられた。
小型成長株ファンドとしての身動きが取れるほどに。
なので今後資金が増えていけばまた買付停止になる可能性は高い。
そして再度買付停止になった!
2018年4月5日 SBIアセットマネジメントよりお知らせより
・SBI小型成長株ファンド ジェイクール
・SBI日本小型成長株選抜ファンド(愛称:センバツ)
以上2つのファンドの購入申し込み受付停止。
2018年4月9日(月)午後3時以降の買付停止に(楽天証券)
まとめ
以上ジェイクールの主な特徴について。
日本中小型株式ファンドでありその特徴はIPO企業への投資にある。(原則として株式公開後3年以内の企業が投資対象)
魅力的なリターン実績。
「ひふみ」や「ジェイリバイブ」に引けもとらないその圧倒的なパフォーマンス。多くの投資家に評価されている。ただしリーマンショック時はTOPIXを下回った。
そんな新興株としてのリスクは意識しておく。
また口数でしか買えないことも難点。
1口からの購入となるので昨今人気の100円投資も勿論できない。更には買付停止にも頻繁になっている。いつでも買えるわけでもない。(売るのはOK)
ある意味で投資家泣かせ。
それでも買いたい価値あるファンドだ。ジェイリバイブ2と合わせて僕は購入予定です。